2021年10月、mui Labでは、パートナーである<a style="background-color:#ffffff" href="https://houseofbeautifulbusiness.com/concrete-love" target="_blank" rel="noopener noreferrer">House of Beautiful Business</a>のグローバルメンバー向けに、「無為自然（natural state of mind）〜精神的サステナビリティを刺激するカームテクノロジー」と題してトークセッションを配信しました。&nbsp;

トークセッション配信動画

・対話参加者：mui Lab CEO 大木カズ、CTO 佐藤宗彦、クリエイティブディレクター 廣部延安、Wired日本版 編集長 松島倫明 氏 ・司会：mui Lab広報/ブランドマネジャー 森口明子

トークセッション・参加メンバー

「京都の共有財産である鴨川。デジタルテクノロジーと人間との関係性のヒントになるのではないか？」

人間は道具を開発する生き物です。人類は歴史的にも道具によって進化してきました。現代人にとっては、未来を形作る大きな要素としてデジタルテクノロジーがあります。良くも悪くも、経済や社会、環境、文化、人々の価値観や行動形態、そして生活までも大きく変える可能性を秘めているデジタルテクノロジーをどのようにデザインするべきか。その際に大切となる議論がデジタルテクノロジーと人との関係性です。それを考慮する際のヒントについて話し合いました。

mui Labは、人々が日常の中で常に触れるプロダクトや住まい環境、そしてそれらを通じた体験によって、心が豊かな方向に育まれることを願い、自然と人とテクノロジーの調和をスローガンに掲げています。 mui Labのシグネチャー的製品であるスマート・ホーム・デバイス「muiボード」のインターフェースには天然木を使い、使い手が穏やかな心持ちで利用できるよう設計しています。また、進化し続けるテクノロジーに合わせて人が不自然な所作をしたり、住まい環境の美観が壊されるような現代のあり方を問題視し、より人間らしく自然で快適であること、そして何よりも、人との関係性が健全に保たれることを大切に、デジタル情報とユーザーとの間に、余白が生まれることを意識してデザインしています。

そんなmui Labの目指すテクノロジーの理想のあり方を、CEOの大木は、トークの中で、京都の公共資産である鴨川を挙げて説明しました。「鴨川は人が作った人工自然ではありますが、あらゆる人、そしてあらゆる活動を抱擁しています。誰でもいつでも行けて、心を落ち着けられる場所、余白を得られる場所。muiはそんな人に寄り添うデジタルテクノロジーを目指しています。」という話をしました。

この大木の話を受けて、松島氏は、 「大木さんが話された鴨川の比喩はとても面白いですね。私の場合、『コモンズ（共有地）』を説明する際に海を事例としてよく挙げています。海はみんなでシェアできる共有財産です。『コモンズ』の特徴は、人々が共有できる場所があることです。場所という財産を共有するために、関係性を構築し、ルールが生まれます。鴨川沿いはみんなが使えるスペースになっています。直接的ではないものの、人とテクノロジーの関係性を考える際の大きなヒントになると思いました。また、どのように場所や環境を作るか？という点で『アフォーダンス』（補足：アフォーダンスという概念は、「環境や物は元から様々な使い方をアフォード（提供）しており、人や動物はその使い方をピックアップ（受取る）する。人や動物と、物や環境との間に存在する関係性」） も一つのヒントになります。今、新たなアクション、新たな関係性を作ることが求められています。アップルの創業者スティーブ・ジョブスが若い頃に言った言葉で、「Computers are like a bicycle for the mind」というものがあります。（補足：「人間を他の霊長類と分かつのは、人間が道具を作る生き物であることだ。人間は移動速度においては多くの動物に劣る。しかし、ある米国科学者が自転車を開発し、それによってコンドルよりも早く移動できるようになった。人間の可能性を広げる自転車は、人間の頭脳の可能性を広げる点においてコンピューターと同じだ。コンピューターは、人が開発した道具の中で人類の歴史を変えるほど革新的なものなのだ。」という発言のこと）　コンピューターは人の可能性を飛躍的に伸ばしましたが、その延長でインターネットが生まれ、今、行き過ぎたアテンション・エコノミーの時代になっています。その勢いはさらに増すでしょう。メタバースの世界が到来すれば人のあらゆる意識がますます盗まれる可能性があります。そういう時代にあって、人とテクノロジーの間に、どのようにスペースや余白を設けるか。mui Labの「テクノロジーの佇まい」はそれらを包括するとてもユニークなコンセプトだと思います。

トークセッション・サマリー

mui Labでは、デジタルテクノロジーをデザインする際に“余白”を意識したアプローチをとっていますが、その”余白”という抽象的な概念を説明するのであれば、それはつまり、意図的なデザインから距離を置き、手放すこととも言えると思います。 例えば、圧倒的なミニマリズムを目指し、削ぎ落とした結果、お部屋はシンプルになったかもしれません。しかし、その空間で住まい手は本当にリラックスして自分らしく暮らしているのでしょうか。 Kyoto Chamberイベントの際にアーティストのニシジマ氏は、「人の声を塞ぐように音楽だけが意図的に大きく鳴っているカフェよりも、暮らしの中のあらゆる音が聴こえて混沌な状態なんだけど全体的に調和している方が僕にとっては心地いい。」と話されていました。 京都の代表的な公共の川、鴨川を作った当初は、今のように京都中の人々が集い、多種多様な活動を受け入れる場所と完璧にイメージしてデザインしてはいなかったかもしれません。人々が暮らす中でアイデアを出し、互いに影響されあって、時を超えて変遷し、出来上がってきたのが今の形なのでしょう。 テクノロジーのデザインも、人の意図を離れた時、意図と意図しない余白、その”あいだ”に、言葉にはできない何かが存在し始めるのかもしれません。その自然発生的な何かを称賛できること、それ自体が余白なのだと思います。つまり、意図的に余白をデザインすることはできず、ある程度のところで手放し、見守り、抱擁することこそが余白なのだと。それは、人が同時に意識できること（持てる視点とも言えるかもしれません）には限界があるということをほのめかしています。その時は「完璧なデザイン」であっても、数年後に見返すとそうは思えないとか、他人から見ると良いと思えないということがよくありますが、そもそも完璧なものなんて存在しないのがこの世の常なのでしょう。

Kyoto Chamberのイベントで、美しいビジネスについて対話をしていた際に、ニシジマアツシ氏はこう話されました。「組織や個人の意図や意味性を中心に置くのではなく、意図を超えた何かを抱擁し、委ねることが大切だと思う」と。何かを創り上げる過程で多様なものが関わり合った時、または集団で生きる場所には、一見、混沌とも見えるけれども、調和した心地良さがあるのではないか？ それが、ニシジマ氏らが「silence/沈黙の窓」を通じて伝えたかったことなのだと感じました。&nbsp;

人間らしい暮らしを実現するためのテクノロジーを実装するmui Labとしても、テクノロジーの意味性や我々の意図を超えた何かにどれだけ委ねられるか、それは勇気の要ることであり、そういった挑戦を迫られているとも言え、大きな示唆を得る機会となりました。 鴨川をヒントに、あらゆる人のあらゆる営みを包括して人に寄り添うデジタルテクノロジーのあり方を追求し続けていきたいと思います。

後記

Meredith: “Not perfect, but beautiful. That photo of the Kyoto street scene made me feel nostalgic.” 「不完全だからこそ美しい。京都の写真は郷愁的な想いを引き起こすわ」 Syma:&nbsp;“Ikigai was already on the list and now Tatzumai”.&nbsp;「[生きがい] が要チェックリストにあったけど、今 [佇まい]が加わったよ」 Meredith: “This mui board is amazing.”&nbsp;「muiボード、素敵！」 Sebastian: “I would love to see this for the elderly, enabling from Micro-interactions to full-blown Video calls. All in matter of touch.”&nbsp;「高齢者がどのように使うか見てみたいわ。日々の小さなやりとりから本格的なビデオコールまで。重要なのは触れて動かせることね！」 Meredith: I love the words they’re using to articulate a deep set of design principals.&nbsp;「彼らのデザイン理念を説明する表現方がとても好きだわ」 Hannes:&nbsp;“That is really beautiful!” 「とても美しい！」 Syma: “Beautiful!” 「美しい！」 Seungman: “Awesome!” 「素晴らしい！」 Andrea: ”Could the board be used for Open Space or World Cafè formats etc. as well? In the design of co-creation/collaboration formats with larger groups”「このmuiボードはオープンスペースやワールドカフェフォーマットなどにも使えたりするのかしら？例えば、多人数が関わる共創デザインやコラボレーションの形態などで。 Vanessa: “This was really beautiful!!! Thank you!” 「とても美しいわ。ありがとう。」 Anne: “truly ingenious!” 「なんて発明の才に富んでいることでしょう！」 Vanessa: “Sweet technology” 「スウィートなテクノロジーだわ」 Meredith: “This was a poetic presentation, really beautiful. I love the phrase “refusing all the hidden evil.”” 「とても詩的な表現だわ、美しい！特に、本の引用の表現が好きだわ。」 Vanessa: “He’s with a notebook and not with a computer” 「佐藤さんはコンピューターではなくノートブックを持ってるわ。いいわね！」 Meredith:”I love this idea of bonding with a piece of tech that is such a beautiful object and which means so much in your life that you want to keep it. This is such a human and humane approach to sustainability.” 「これほど美しい形でテクノロジーを表現するアイデアが素晴らしいわ。人生で大切にしたいことが守られるもの。本当に人間らしく、サステナビリティへの人間的なアプローチだと思うわ。」 Meredith: “This idea of reading the space between pictures and words is why I keep saying ‘poetic’ – this idea of distilling something so that it suggests rather than tells.” 「 絵や文章の間に余白を捉えるという考え方は、私が都度、”詩的”さを大切にしていることとつながるわ。言葉で表現するよりもずっと伝わることがあるということね」 Coen: “When will it be available in Europe?” 「いつヨーロッパで販売されるの？」 Vanessa:&nbsp;“how the elderly people interact with this technology?” 「高齢者の利用についてどのように考えているか聞きたいわ。」 Meredith: “Thank you. Yes – applicable and remarkable.” 「とても適切で優れているわ」 Coen: “very interesting! and inspiring how you&nbsp;look at technology and human interaction” 「とても興味深い！テクノロジーと人間との関係性を見るアプローチにとても刺激を受けたわ。」

トークセッション視聴者からのコメント 

House of Beautiful Businessでは、その年のビックテーマを元に、世界中のあらゆる領域の方々が多種多様な議論を行なっています。視聴には登録が必要です。登録は<a href="https://houseofbeautifulbusiness.com/join-us" target="_blank" rel="noopener noreferrer">こちら</a>からどうぞ。&nbsp;

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1. Inspiring calm moments

2. Valuing simplicity over complexity

3. Staying out of users’ way 

4. Pursuing harmonious beauty 

5. Achieving seamless integration

Designing according to the law of nature

1. 穏やかな幸せをもたらすもの

2. 必要最小限である  

3. 主張せず控えめである

4. 置かれた環境と調和する

5. 溶け込み馴染むもの

6. 自然の理に従ったデザイン・アプローチ

mui Design Principles

対話 – Wired 日本版編集長 松島倫明 x mui Lab「鴨川をヒントにデジタルテクノロジーと人間の関係性を考える」

mui lab&nbsp;will exhibit our new conceptual model at the “The Year 2121: Futures In-Sight” , the exhibition hosted by 21_21 DESIGN SIGHT’ which open on 21 December, 2021. The Exhibition takes the stance of “thinking about the future,” to provide opportunities for nurturing rich insights into how we might create a tomorrow through the medium of design. We will release its theme and contents close to the opening.&nbsp;

21_21 DESIGN SIGHT’s exhibition “The Year 2121: Futures In-Sight” will open on 21 December, 2021. The exhibition director is Michiaki Matsushima, an editor who has published numerous books and magazines, all revealing his interest in issues relating to the future. His perspectives consider how technologies bring change to our cultures and styles of living. The term “20/20 vision” is used in English to denote perfect sight. The name, 21_21 DESIGN SIGHT refers to our wish to provide a place where people can look far into the future. One hundred years from the opening of this exhibition will fall in the year 2121. Our concept is to ponder how the world will look in a year which is coincidentally also the name of this institute. Since ancient times, humankind has made predictions and prophecies about the future, whether tomorrow’s weather, or the prosperity of the nation. We have recently gained more confidence in the process, thanks to the detailed and elaborate prognoses now available via advancing technology of analysis and measurement of information. Yet, in every case, from the very beginning of time, ‘the future’ has been more than just an extension of the past. The experience of global pandemic has brought drastic and widespread changes to our life-style, communication methods and sense of community, as well as to people-values and general ways of thinking. It has brought home to us how unpredictable the future really is. This exhibition employs a tool called “Future Compass” to trigger ideas about the future. We use it to visualize perspectives on a future which is already present today, and which can be uncovered through our contemporary behavior and creativity. We have engaged a range of participants, from designers, artists and thinkers, to engineers and scholars, who provide their own perspectives on the future. These ideas have been generated from the act of pondering timelines, whether familiar or yet unknown. The participants’ ideas constitute the exhibition content, which will multiply into future forms, like flourishing plants. The Exhibition takes the stance of “thinking about the future,” to provide opportunities for nurturing rich insights into how we might create a tomorrow through the medium of design. &nbsp; Date: December 21 (Tue), 2021 – May 8 (Sun), 2022 Venue: 21_21 DESIGN SIGHT Gallery 1 &amp; 2 Closed: Tuesdays (Except December 21, May 3), December 28 – January 4 Time: 10:00 – 19:00 (Entrance until 18:30) *Depending on circumstances, advance reservations may be necessary. Admission General ¥1,200 / University Student ¥800 / High School Student ¥500 / Junior High School Student and under may enter for free Organized by: 21_21 DESIGN SIGHT, THE MIYAKE ISSEY FOUNDATION In Association with: MINATO CITY BOARD OF EDUCATION Exhibition Director: Michiaki Matsushima &nbsp; Participating Creators:&nbsp; Ryuta Aoki, Rumi Ando, e-lamp. (Ayumi Yamamoto), Rin Ishikawa, we＋, evala, Momona Otsuka (WHY), Tomohiro Okazaki, Lena Okajima, Tomo Kihara, Qosmo × The Asahi Shimbun Company Media R&amp;D Center, Taku Satoh, Synflux, Ayako Suwa, Habitat Building History, Tokyo University of the Arts Sputniko! Lab (M2: Emi Iwado), Rikako Nagashima, PARTY, HUMAN AWESOME ERROR, Tamae Hirokawa, Naoto Fukasawa, Masatoshi Funabashi, Placy, Masataka Hosoo, mui Lab and others &nbsp; You can find the official information <a href="http://www.2121designsight.jp/en/program/2121/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">here</a>.

About “The Year 2121: Futures In-Sight”

mui Labは、2021年12月21日より21_21 DESIGN SIGHTにて開催される「2121年 Futures In-Sight」展に出展します。 「2121年 Futures In-Sight」展は、「Future Compass」（未来の羅針盤）というツールをきっかけに、未来を思い描くだけでなく、現在を生きる私たちの所作や創り出すものに内在する未来への視座を、デザイナーやアーティスト、思想家、エンジニア、研究者など、多彩な参加者たちとともに可視化していくことを試みるものです。身近な存在からまだ見ぬ他者、それらをめぐるさまざまな時間軸へ思いを馳せる中から生まれた未来にまつわる多彩な視座が会場に集結し、繁茂する草木のごとく複数形の未来を形成していくものと期待されます。 「未来」を考えるという姿勢自体を示す本展は、現在を生きる私たちとこれからを生きる世代にとって、デザインとともに明日を創造していくための豊かな洞察力（Insight）を養う機会となることを目的としています。 テクノロジーが人類の文化やライフスタイルをいかに変えるのか、その未来を見据えた数多くの書籍や雑誌を手がける編集者の松島倫明氏が展覧会ディレクターを務められます。

mui Labは、提示されたコンパスから、How / Time / Feel ?を選び、以下の問いを立てました。 「私たちは家族の時間をどのように記憶するのだろうか？」

作品テーマ

展示イメージ

壁に掛けられて家族のメッセージを届けてきたmuiボードは、いつしか動かなくなったようだ。​ そこに残された傷やメッセージの焼き付いた表情は、家族の歴史が垣間見られる家具のように、大切な思い出での痕跡となり、未だその場所に掛けられている。​​ いつしか、家族の日常的なコミュニケーションの場は壁面そのものへと役割を移していた。家族間で交わされたメッセージの軌跡がふとした瞬間に壁に浮かび上がる度、にまりと笑ったり、もの想いに耽ったりする。​ かつて存在した家族の像がリアルに呼び起こされる。

作品解説

壁に設置された mui ボードは、すでに製品寿命が尽きたため、ネットワークへの接続がなく、LED 表示も劣化して正常には点灯できない状態であるが、かつて使われていたことを示す名残として、表面木目が内部 LED の長時間の照射によって焼けて跡形が見えるようになっている。muiボードの少し上の壁面真ん中あたりに、タイプライターのように表示されるメッセージと、それに回答するように誰かの手書きのメッセージが交互に現れ、会話がなされていることが想像できる。(情報の壁面への浸透) 100 年後の未来において、家族のコミュニケーションの一部は環境側に蓄積され、それをなんらかのトリガーによって見たり聞いたり体験することが可能になっていると想定する。 今回の展示では、家族によって紡がれた特定の時間を壁面にダイアローグ(対話)として表示する。そのことで家族の何気ない日々のやり取りが、家族の時間として残されていることを示したい。 壊れたmuiボードは、2021 年時点での製品が壊れてもなお、家族の思い出を残しているかのように部屋の壁にかけられているが、本来の用途としてはすでに使うことができないことを壁面情報表示と対照させることで、かつての情報機器としての muiボード、2121 年時点での壁面インターフェースが同じ家族の記憶を残していることを示したい。 「2121年 Futures In-Sight」オープニングトークにて、松島倫明さんにご紹介いただました！

「2121年 Futures In-Sight」展の概要 英語では優れた視力を「20/20 Vision (Sight)」と表現します。 私たちの「21_21 DESIGN SIGHT」という名称は、さらにその先を見通す場でありたいという、「未来」にむけた想いからつけられました。 この展覧会が始まる2021年から、ちょうど100年後–。私たちの活動の名称と同じ数字を持つ100年後の世界に想いを巡らせるところから、本展の構想は始まりました。 古くから人々は、明日の天気から国の繁栄まで、まだ見ぬ先の世界を捉えるために、さまざまな予言や予測を行ってきました。 近年では、情報解析や計測に関するテクノロジーの著しい進歩に伴い、より精緻な予測が可能になっているように感じられるかもしれません。しかし、そもそも「未来」は過去の延長線上にだけ存在するわけではありません。 現在、私たちは、世界的なパンデミックを体験し、生活様式やコミュニティのあり方、コミュニケーションの手法などにはじまり、物事の考え方や価値観など、ありとあらゆるものが劇的に変化していく様子を目の当たりにしています。 そのことは「未来」がいかに未知なるものであるかを私たちに強く実感させることとなりました。 本展は「Future Compass」（未来の羅針盤）というツールをきっかけに、未来を思い描くだけでなく、現在を生きる私たちの所作や創り出すものに内在する未来への視座を、デザイナーやアーティスト、思想家、エンジニア、研究者など、多彩な参加者たちとともに可視化していくことを試みます。身近な存在からまだ見ぬ他者、それらをめぐるさまざまな時間軸へ思いを馳せる中から生まれた未来にまつわる多彩な視座は、会場に集結し、繁茂する草木のごとく複数形の未来を形成していくものとなるでしょう。 「未来」を考えるという姿勢自体を示す本展は、現在を生きる私たちとこれからを生きる世代にとって、デザインとともに明日を創造していくための豊かな洞察力（Insight）を養う機会となることを目指します。

会期 2021年12月21日（火）- 2022年5月8日（日） 会場 21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1＆2 休館日 火曜日（12月21日、5月3日は開館）、年末年始（12月28日 – 1月4日） 開館時間 10:00-19:00（入場は18:30まで） *入場予約制の可能性あり 入館料 一般1,200円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料 各種割引についてはご利用案内をご覧ください 主催 21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団 展覧会ディレクター 松島倫明 参加作家 青木竜太、安藤瑠美、e-lamp.（山本愛優美）、石川 凜、we＋、evala、大塚桃奈（WHY）、岡崎智弘、岡島礼奈、木原 共、Qosmo × 朝日新聞社メディア研究開発センター、佐藤 卓、Synflux、諏訪綾子、生環境構築史、東京藝術大学 Sputniko! Lab（M2 岩藤愛実）、長嶋りかこ、PARTY、HUMAN AWESOME ERROR、廣川玉枝、深澤直人、舩橋真俊、Placy、細尾真孝、mui Lab、他 2121年 Futures In-Sight」展ウェブサイトは<a href="http://www.2121designsight.jp/program/2121/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">こちら</a>よりどうぞ

展示意図

Theme of work

Artwork description

Intent of the exhibition

mui Labの展示について

“How do we remember the transition of our family time?” – an exhibition of “2121 Futures In-Sight” at the museum, “21_21 Design Sight”

「私たちは家族の時間をどのように記憶するのだ ろうか？」- 21_21 Design Sightで出展中の「2121年Futures In-Sight」について

mui Lab exhibits its new conceptual model at the “The Year 2121: Futures In-Sight” , exhibition hosted by 21_21 DESIGN SIGHT

mui Labは、21_21 Design Sightにて開催される「2121年 Futures In-Sight」に出展します

mui lab has been exhibiting our new conceptual model at the “The Year 2121: Futures In-Sight” , the exhibition hosted by 21_21 DESIGN SIGHT’ which will be open until May 8, 2022. Please find the details about “2121 Futures In-Sight” from <a href="https://muilab.com/en/journal/21_21-design-sight/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">here</a>.

The exhibition “2121 Futures In-Sight” is an attempt to visualize, with the help of a tool called “Future Compass”, the perspective on the future inherent in our actions and creations in the present, together with a diverse group of designers, artists, thinkers, engineers and researchers. A variety of perspectives on the future born from thinking about the familiar, the yet unseen, and the various timelines surrounding them will gather at the venue, and are expected to form a plurality of futures like a flourishing plant.

The aim of the exhibition is to provide an opportunity for those of us who live in the present and the future to develop a rich insight into how we can work with design to create the future.

The director of the exhibition is Matsushima Michiaki, the editor of numerous books and magazines on the future of how technology will change human culture and lifestyle.

mui Lab has chosen the compass How / Time / Feel ? and raised the below question.&nbsp; “How do we remember the transition of our family time?”

The mui board, which has been hanging on the wall to deliver family messages, seems to have stopped moving for some time. The scratches on the board and the burned expression of the messages are traces of precious memories, like a piece of furniture that gives a glimpse of a family’s history, still hanging in its place. After some decades, the wall itself has become a place of daily communication for the family instead. Whenever the traces of messages exchanged between family members appear on the wall, we smile and think about them. The image of the family that once existed is evoked in a very real way.

reached the end of its life, and the LED display has deteriorated to the point where it cannot light up properly, but as a reminder of its former use, the surface grain of the wood has been burned by the long exposure to the internal LEDs, and traces of it can be seen. In the middle of the wall, a little above the mui board, a typewriter-like message appears on the wall itself alternately with someone’s hand-written message in response to it, suggesting that a conversation is taking place. (suggesting the penetration of information into the wall) In the future, 100 years from now, part of the family’s communication will be stored in the environmental side, and it will be possible to see, hear and experience it by some kind of trigger. In this exhibition, specific moments of family communication will be displayed as dialogues on the wall. By doing so, we would like to show that the casual daily interactions of the family remain as family’s valuable time. By contrasting the wall information display with the fact that the broken mui board is no longer usable for its original purpose, we want to show that the mui board as an information device in the past and the wall interface in the year 2121 retain the same family memories. Our exhibit was introduced at the opening talk session of “2121 Futures In-Sight” !

Please find the details about “2121 Futures In-Sight” from <a href="https://muilab.com/en/journal/21_21-design-sight/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">here</a>.

mui Labは、2021年12月21日より21_21 DESIGN SIGHTにて開催される「2121年 Futures In-Sight」展に出展しています。&nbsp;会期は、2022年5月8日（日）までです。「2121年 Futures In-Sight」展の詳細については<a style="background-color:#ffffff" href="https://muilab.com/journal/21_21-design-sight/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">こちら</a>をご覧ください。

&lt;作品テーマ&gt; mui Labは、提示されたコンパスから、How / Time/ Feel ? を選び、以下の問いを立てました。 「私たちは家族の時間をどのように記憶するのだろうか？」

&nbsp;壁に掛けられて家族のメッセージを届けてきたmuiボードは、いつしか動かなくなったようだ。​ そこに残された傷やメッセージの焼き付いた表情は、家族の歴史が垣間見られる家具のように、大切な思い出での痕跡となり、未だその場所に掛けられている。​​ いつしか、家族の日常的なコミュニケーションの場は壁面そのものへと役割を移していた。家族間で交わされたメッセージの軌跡がふとした瞬間に壁に浮かび上がる度、にまりと笑ったり、もの想いに耽ったりする。​ かつて存在した家族の像がリアルに呼び起こされる。

壁に設置された mui ボードは、すでに製品寿命が尽きたため、ネットワークへの接続がなく、LED 表示も劣化して正常には点灯できない状態であるが、かつて使われていたことを示す名残として、表面木目が内部 LED の長時間の照射によって焼けて跡形が見えるようになっている。muiボードの少し上の壁面真ん中あたりに、タイプライターのように表示されるメッセージと、それに回答するように誰かの手書きのメッセージが交互に現れ、会話がなされていることが想像できる。(情報の壁面への浸透) 100 年後の未来において、家族のコミュニケーションの一部は環境側に蓄積され、それをなんらかのトリガーによって見たり聞いたり体験することが可能になっていると想定する。 今回の展示では、家族によって紡がれた特定の時間を壁面にダイアローグ(対話)として表示する。そのことで家族の何気ない日々のやり取りが、家族の時間として残されていることを示したい。 壊れたmuiボードは、2021 年時点での製品が壊れてもなお、家族の思い出を残しているかのように部屋の壁にかけられているが、本来の用途としてはすでに使うことができないことを壁面情報表示と対照させることで、かつての情報機器としての muiボード、2121 年時点での壁面インターフェースが同じ家族の記憶を残していることを示したい。 「2121年 Futures In-Sight」オープニングトークにて、松島倫明さんにご紹介いただました！

「2121年 Futures In-Sight」展の詳細については<a href="https://muilab.com/journal/21_21-design-sight/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">こちら</a>をご覧ください。

#Michiaki Matsushima